祇園祭2024、はせにゃむが撮影した祇園祭の山鉾巡行を見に行った写真レポート(後半)です。
寄り道や小話などの脱線を多分に含みます(笑)
今回は写真が多め!(図らずも写真の量が多すぎて前後編になった…)
撮った写真の山鉾の由来や粽(ちまき)の紹介などです。
祇園祭2024 続きの続き
7.綾傘山(あやがさほこ)
くるくるとまわる傘にたなびく傘織物。
絵に描かれた通り天女様がふわりと空を舞っているようだった。
シンプルだけど、その分洗練された美しさが際立つ綾笠です。
ちまきのご利益は『厄除け、 縁結び・縁故守り』です。
8.保昌山(ほうしょうやま)
ちまきのご利益は山鉾の中でも少数派の『縁結び』。
”和泉式部、保昌が妻にて、丹後に下りけるときに…(十訓抄『大江山』)”
で有名な小式部内侍のエピソードの冒頭にでてくる人たち(ご両親)の恋物語がモチーフです。
ちなみに大江山のお話は、娘の小式部内侍が主人公。
『歌の名人のママ(和泉式部)からのカンペは来たかい?w』とからかってきた男性を、『うっせぇわ』と言わんばかりの即興歌でぎゃふんといわせたあのお話です(高校時代の古典の記憶よ…)。
古典から『ぎゃふん』ジャンルがあることがわかる貴重なエピソードw
そのご両親もなかなか話題に上るお方々だったらしい。
保昌が和泉式部のために紫宸殿の紅梅を折って持ち出す姿が表現されているみたい。
(紫宸殿の梅を!?いいのか…!?)
『縁結び』はそんな情熱的なお話にちなんだのでしょう。
ちまきに加えて、梅の花の縁結びのお守りがあってとってもかわいいのです。
おみやげにしても可愛い><
そうそう、ここの山は山鉾町の密集するエリアから離れているので、お買い求めの際は注意です。
保昌山は東洞院高辻下るにあります。
9.鶏鉾(にわとりほこ)
『イーリアス』トロイアの戦争物語・タペストリー 出陣するヘクトールの妻子との別れ
の見送が有名な鶏鉾。
SUINA室町の西通りに立っている鉾です。
今の色彩豊かな見送は複製品だけども、鶏鉾の山鉾町では現品があるみたい。
以前の職場は近かったのでよく見に行ったのだけど、残念ながら今年は撮ることができず。
2024年の巡行では四条通でアクシデントがあり、途中で帰還することになったみたい。
ちなみに、鶏鉾のちまきのご利益は『厄除け・疫病除け』です。
10.霰天神山(あられてんじんやま)
こちらの霰天神山は昔京都に大火があったときに、霰が降り注ぎ炎が収まったという言い伝えがモチーフです。
一方、似たお名前の『油天神山の方の天神は菅原道真公ですが、こちらは天の神様という意味の天神様です。
ご神体の鳥居には『天神』と書かれています。
一方、油天神山の方は『天神山』と書かれています。
ちなみに、霰天神山のちまきのご利益はその言い伝えから『雷除け・火災除け』。
ちなみにどの山も、ぐるーんと1~3周してくれます。
とっても重いだろうに;;
カメラマンとしては多方向から写真が取れてとてもありがたい…
11.芦刈山(あしかりやま)
芦刈山は訳があって妻と離れ離れになった芦刈の翁が、めぐりめぐって妻に再開するストーリーが表現されている。
胴懸(どうかけ:側面の掛け装飾)は尾形光琳原画「燕子花図」(1994)が涼やか。
芦刈山のちまきのご利益はご神体のエピソードから『夫婦和合・縁結び』です。
12.孟宗山(もうそうやま)
胴懸(どうかけ:側面の掛け装飾)は平成20~21年度に新調されたものらしい。
平山郁夫の「砂漠らくだ行(日)」、「同(月)」の原画による綴織(つづれおり)。
緋毛氈に浮かぶ夜に砂漠を渡るキャラバンの絵。
赤と蒼が対をなす様がとても印象的。
孟宗山のちまきのご利益は『親孝行』です。
ご神体(孟宗さん)が親御さんのために、筍狩りに出ている様子を表しているからです。
祇園祭って日本を代表する伝統行事なのに案外エキゾチック!
祇園祭だから純和風なのかと思えば、和風のものに加えてエキゾチックな題材のタペが数多くある。
江戸時代からあるものや(複製されてはいるが)、近代美術家によって描かれたもの、様々だ。
すべて素晴らしいのだけど、特に目を引くのがホメロスの叙事詩「イーリアス」や、交易の様子、キリスト教の絵画のようなものだ。
古くは南蛮貿易でもたらされたものらしい。
その歴史をさかのぼると、江戸時代から飾ることになったそうで、いろんな国から徳川家に寄贈されてきたものらしい。
江戸幕府の財政難の時にいろんなところから借り入れをしていたため、そのカタにとられたのだろうとのこと。
その時に京都の豪商が手に入れたタペストリーを山鉾に飾ったのだそうだ。
まさか刺繍もイーリアスに描かれているトロイ王も大陸を横断し、海を渡った極東の島まで来るとは思っていなかっただろう。
ちなみに、おとなりの滋賀県大津市にも、『大津まつり』という祇園祭の姉妹祭にあたるものがあり、そこの山鉾もタペストリーを分割したものを飾っているよ。
大津まつりはだいたい10月の上旬~中旬にかけての開催です。
(2024年体調不良にて行きそびれました…orz)
さいごに
やはり、歴史の深いお祭りはその起源や歴史の背景を紐解いていくと楽しい。
時を重ねて伝承してきたもの、また失われたもの。
伝統っていうのは『時代』の一部を切り取って大事にしまった宝箱みたいにゃんだなあ。
京都の街並み自体もそうなんだけど、いろんな人の支援を受けたとしても、伝統を受け継いでいくのは
思っている以上に難しいことなんだろうと感じた。
『日常』と『伝統』の両立は簡単なことではないから。
お祭りはきれいごとばかりではないし、時に忖度や絶対的なパワーバランスがあり、それをよく思わない人も多い。
けれども、この歴史の綾錦やそれを抱える京都という街を、紡いでいってほしいと思う。
僕もまだまだ京都人(猫)になり切れていないかもしれないけど、市民として応援していくよ。
さて、前祭の山鉾巡行のレポはこれでおしまいです。
かれこれ前祭12基ほど撮影したけど、この後23の船鉾まであります。
まだ半分くらいしか撮ってないってこと!?
祇園祭のその規模たるや@@
一方、後祭は11基なので頑張れば初めから最後まで見てられるかもしれない。
ぜんぶはなかなか撮りきれなかったけど来年はまた別の山鉾を撮れたらよいな~!と来年も行く気満々。
撮った写真をながめながら記事を書くことで、祇園祭がより身近なものになりました。
祇園祭の観光について
さいごに、次回行ってみたいなという方向けにアクセス方法や日時書いておくね。
(『祇園祭2024を京都の猫がめぐってみた②』の最後とほぼ同じ内容なので用がなければ飛ばしてください)
京都は『祇園祭2024を京都の猫がめぐってみた①』でも書いた通り、7月まるまるが祇園祭の期間です。
【屋台に行きたい】
有名な山鉾巡行(前祭)は7/17で固定です、この日は夜店は出ません。
その前日の15~16を宵山・宵々山(よいやま・よいよいやま)といい四条烏丸を中心として、烏丸通に約2キロの夜店が出ます。
場所:烏丸通(北は御池~南は高辻)
さらに、山鉾町がある細い通りにも店がでます(新町、室町、東洞院、綾小路、錦)
また、周辺の飲食店も店前に屋台を構えるので、有名店の出し物の食べ歩きの楽しみがあります。
そうそう、後祭には夜店はでないので夜店目的の人注意だよ。
ちなみに田の字エリア(東は河原町通、西は堀川通、南は五条通、北は御池通で囲まれたエリアのざっくりした呼び名)のホテルか民泊を選べば余裕をもって見てまわることができるよ。
夜といえど7月の京都は湿気がすごくてとても暑いそのうえ人も多い!熱中症に注意だよ!
※毎年救急車で運ばれる人が数十人でます、マジで危険。
【山鉾をじっくり見たい人】
→7/12あたりから始まる山鉾建て以降に数日のみ展示されます。
場所:四条烏丸周辺(特に西側)、室町通・新町通など(それぞれの山鉾町の拠点)
この期間は粽の売り出しもあるので、ご利益のある粽を買ってみては。
御朱印の受付もあります。
加えて、提灯のともった幻想的な山鉾を見てまわるのも素敵ですよ。
【巡行が見たい!~辻廻し~】
→7/17の前祭の巡行か、7/24の後祭の巡行をねらうべし!
場所:辻廻しは①四条烏丸②四条河原町③河原町御池④新町御池であります。
細い道を大工方のチームプレイで抜けていく技を見たい方は各道の新町姉小路の交差点で待機するとよいかも。
MKメディアさんで祇園祭2022のピックアップ記事が取り上げられています>こちら(外部サイト)
旅行者の方は祇園祭滞在中に、7/15の百万遍さんの手づくり市もおすすめです(^^)/
15日縁日なので来年も同じのはず!